長い間受け継がれてきた屋根神様ですが年月とともに変わってきていることがあります。
それは、お社の数が減ってきていることです。過去、名古屋市内で行なわれた調査では、1976年→224社 1992年→221社 2009年→135社 と時代の変化とともに急激な減少傾向にあります。
減少の原因といえる6つの点を紹介したいと思います。
 
   
   屋根神様は長屋にまつられることが多かったそうです。
長屋は下町の狭い路地に対して密集して建てられた木造住宅なので、屋根神様を地域ごとで管理することで濃密な信頼関係が成熟されていきました。しかし長屋が壊されマンションなどが建つと旧来の信頼関係は薄れ、かつて町内の結びつきを象徴する存在だった屋根神様は必要とされなくなりました。
 
   
   国の新憲法では、宗教の自由が保障されています。そのため、新しい宗教の布教活動が活発になり旧来の祭礼などへの不参加・社に対する反対運動が行なわれていました。このことも屋根神様が減少する理由の一つではないでしょうか。また、現代人の神仏に対する興味関心が薄れていることも理由として挙げられます。  
   
   都市化でも書いた交通量も関係していますが祭礼がだんだんと簡略化されていきました。
本来、毎月二回行われていた月次祭(つきなみさい)を一回にしたり、祭り自体をなくしたり、(高所が危ないので)供え物をなくしたり、僧侶を呼んでのお祓いをやめたりしたことで庶民の考えが変わってきたことが考えられます。理由としては今まで守ってきた高齢者や受け継いでくれる若い世代の人がいないということだと思います。
 
   
 
 屋根神様を設置している建物自体も古いものが多く、老朽化が進んでいます。屋根が社の重みに耐えかねて歪んでしまい、やむをえず屋根神様を降ろすことがありました。現在屋根の上に屋根神様をまつっている建物も将来的に建て直しが必要だと考えられます。  
 
   
 
社自体が明治時代に作られたものであり、屋外に露出した社は日々の風雨にさらされて傷みが増しているのが現状です。
どれだけ立派に彫刻が施された社であっても朽ち果ててまうのは時間の問題であると考えられます。
 
 
   
   屋根神様を強く信仰していた時代では、屋根神様を世話(管理)することは昔の人にとって当たり前のことでした。
しかし、現代の人は神仏に対して関心が薄く、祭礼の伝承・社の維持管理が難しく、また、交通量の増加や、屋根の上まではしごをかけて管理することが危険であることが、廃絶の理由になっています。
 
     
 
Copyright (C) 2011 GifuSogoGakuenHighSchool Corporation. All Rights Reserved.